真実

劇場公開日:

真実

解説

「万引き家族」で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、初めて国際共同製作で手がけた長編作品。母と娘の間に隠された真実をめぐる物語を、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュの共演で描く。フランスの国民的大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版し、それを祝うためという理由で、アメリカに暮らす脚本家の娘リュミールが、夫でテレビ俳優のハンクや娘のシャルロットを連れて母のもとを訪れる。早速、母の自伝を読んだリュミールだったが、そこにはありもしないエピソードが書かれており、憤慨した彼女は母を問いただすが、ファビエンヌは意に介さない。しかし、その自伝をきっかけに、母と娘の間に隠されていた愛憎渦巻く真実が次第に明らかになっていく。女優として優れていることを何よりも優先するファビエンヌをドヌーブ、娘のリュミールをビノシュが演じた。そのほかリュミールの夫ハンク役でイーサン・ホーク、ファビエンヌの共演女優役でリュディビーヌ・サニエら実力派キャストが顔をそろえる。2019年・第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。日本人監督の作品として初めて、同映画祭のオープニング作品として上映される。

2019年製作/108分/G/フランス・日本合作
原題または英題:La verite
配給:ギャガ
劇場公開日:2019年10月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第76回 ベネチア国際映画祭(2019年)

出品

コンペティション部門 出品作品 是枝裕和
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映画レビュー

4.0是枝監督がフランスを舞台に描く、セレブ一家のささやかで愛すべき日常

2019年10月28日
iPhoneアプリから投稿

気付いたら終映間近…で、駆け込み鑑賞。前情報を入れ過ぎていたせいか、え!なーんだ、良いじゃないかー!とホクホク、にんまり。大物揃い過ぎるのでは…と敬遠していたドヌーブ、ビノシュ、ホークのアンサンブルがなかなかに絶妙です。久しぶりにサニエちゃんもたっぷり鑑賞でき、脇の方々含め、登場人物全てが愛すべき魅力にあふれていました。是枝監督らしいなあと思う以上に、フランス映画の良心にあふれているなあ…という気持ちに。懐かしくも新鮮な作品でした。
何より、主人公が大物女優、芸能家族の物語、というところがユニーク。是枝作品といえば、市井の人を丁寧にすくい上げて描き出すところに味わいがあり、希林さんもリリーさんも、物語の中ではそこらのおばあちゃん、おっさんにしか見えません。一方、今作。最初は本人にしか見えない人々が、いつしか女優ファビエンヌ、娘で脚本家のリュミエール、その夫でテレビ俳優バンクに。そして、どこまでが嘘(芝居)で、どこまでが真実なのか分からないやり取りが、あれよあれよと繰り広げられます。それぞれの思惑がすれ違い、絡まり合い、ふっと解けて重なって…。映画の中でSF映画を撮る、という大仕掛けの中で、ごくごくささやかでありふれた事柄を描く点に、最後まで軸足を置いているのもさすがです。俳優を主人公にしたことが、仕事で悩む、生き方にふと立ち止まるという、誰にでも通じる心の揺れの描写に効いていました。ファビエンヌが撮影の中で演じることに迷い悩む姿が、日常では良き母良き姉、そして自分らしくあろうと葛藤する姿に連なっていき、我が事のようにハラハラひやひやしてしました(無論、ドヌーブ様とは歳も姿もかけ離れておりますが…)。
一家が前に進み出す姿を、ぐんぐん引いて上空から捉えるエンドロール。至福の時間が終わってしまった…と思ったら、さらに素敵なおまけが。ドヌーブならぬファビエンヌが愛犬を散歩させる長回しに、思わずニンマリしてしまいました。最後の最後まで映画の楽しみは続きます。そして、彼らのその後や描かれなかった物語を日々の中で想う楽しみも、どこまでも続きそうです。

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cma

4.0自筆の脚本を手に世界を渡り歩く監督の未来は明るい

2019年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

フランスを代表する大女優が出版した自伝に綴られた内容の真偽と、彼女と折り合いが悪い娘との関係の真偽が、Wミーニングとなって進んでいく。集まった家族の団欒に寄り添う是枝演出の"人肌"の体温を感じさせる優しく、時に辛辣で、かつユーモラスなタッチは、撮影場所をパリに移しても何ら変わりはない。これは、自筆の脚本を手に演出できる監督の強みとも言える。

 目に見えるものから、どうしても撮影の裏側が垣間みえてしまうのは、思いっきりチャレンジングで危険な配役故。それは、すでに発売されている是枝監督自らが綴った撮影日記からも、そして、先日NHKで放送されたドキュメンタリーを見ても分かるのだが、特に、大女優を演じるカトリーヌ・ドリーヴのわがまま放題と、落ち着きのなさ、稀代のチェーンスモーカーぶりは、画面からも伝わってきて興味深い。本人は自分自身と役の間に共通点はさほど多くないとコメントしているが、まるでドヌーヴそのものと感じさせるところが、彼女の、そして、選んだ是枝監督の凄さだと思う。

 是枝裕和の次なるチャレンジはハリウッド・デビューと聞く。手元に脚本の草案がある限り、彼の道筋は明るい。そう確信させる「真実」なのだった。

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清藤秀人

4.5是枝映画、日仏合作の到達点

2019年10月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

知的

ひとえに是枝裕和監督の才能と努力の積み重ねでここまで来たのは重々承知だが、カトリーヌ・ドヌーヴ、 ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエの仏3世代を代表する女優たちが一堂に会する映画(サニエは出番が少なく残念だが)を日本人監督が撮ったのはやはり感慨深い。庶民の生きざまを描き続けてきた監督にしては珍しく、セレブ層の芸能一家の積年の確執と衝突、その後の展開を語るが、感情の機微とその変化でストーリーを深化させる手腕は健在だ。

経験の乏しい子役や無名の役者から素晴らしい演技を引き出す能力も認知されてきた是枝監督。フランスに移っても、国際的にほぼ無名のマノン・クラベル(新進女優役)、新人子役クレモンティーヌ・グルニエらを見出し、名優たちの中で遜色ない演技と自然な存在感へ導いた。

ゴージャスなフレンチの食材から、腕利きのシェフが和の繊細な味付けで新たな魅力を引き出した、といったところか。

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高森 郁哉

4.0日本人でキャスティングするなら〜

2024年5月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この大女優の役をカトリーヌドヌーブが演じる事に文句をつける人はいないのではないか。この存在感、ワガママで神経質でプライド高くて、、
ドキュメンタリー的な手法で一般家庭や貧困家庭を扱ってきた是枝監督が大女優一家というセレブな家庭を扱うにあたっては、真の大女優が必要である。
でも多くの人が「日本人で撮影するにはキャスティングをどうすれば」と一度は想像してみたのでは?
僕は京マチ子とかすでに亡くなった人しか思いつきませんでした。

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SUZ

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